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質問力を鍛えて上司・部下のコミュニケーションを円滑にする!6つの質問の種類と5つのポイント 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜

質問力を鍛えて上司・部下のコミュニケーションを円滑にする!6つの質問の種類と5つのポイント 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜

サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーションスキルから「質問」についてお伝えします。

サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル
1. 傾聴
部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力

2. 質問
部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力

3. 承認
部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力

4. フィードバック
行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力

質問とは?

質問とは、部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に解決のための行動を引き出すことができる力です。サーバント・リーダーシップを発揮するためには、傾聴と並び重要なスキルのひとつです。

部下に自発的に行動をしてもらうためには、上司自身が部下の状況を把握するための質問に加えて、部下に考えてもらい、気づいてもらい、行動してもらうための質問を投げかけていく必要があります。

質問を通じて得られること
・対話のテーマとなっていることの正確な情報を引き出す
・状況や問題・課題などについての部下の理解状況を確認する
・話しやすい雰囲気を作り、部下の本音を引き出す
・部下に考えさせ、気づきを与え、自発性な行動を引き出す

上司の質問の仕方によって、部下との関係の質や、部下の行動や思考のあり方が大きく変わるため、部下に対して「気づき」や「発見」、「変化」をもたらす質問ができるかどうかがとても大事になります。
上司の投げかける質問を通じて、部下は考え、気づき、行動するようになります。質問によって、部下との関係を良くすることや、部下の主体性を高めること、部下の行動や思考の幅を広げることができるのです。

6つの質問の種類

質問は整理するといくつかの種類に大別されます。今回は6つの種類についてご紹介します。

1. クローズド・クエスチョン(特定質問)
「はい」または「いいえ」で答えられる質問で、深く考えなくても答えることができる質問です。端的に事実関係や考えを確認したい時に活用でます。

【具体例】 クローズド・クエスチョン(特定質問)
・訪問資料は準備できましたか?
・明日中に、見積書を作ってくれますか?
・明日は10時にお客様訪問でしたよね?

2. オープン・クエスチョン(拡大質問)
さまざまな答えがあり、自由に答えることができる質問です。部下の意識の中にある発想や気づきを生み出すことにつなげられます。

【具体例】オープン・クエスチョン(拡大質問)
・さっきの会議で出た課題だけど、どこから取り組むのが良いと思う?
・この業務は、どうすればもっと効率化できると思う?
・今度の案件を獲得するために大事な点はどんなところだと思う?

クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンはうまく組み合わせることで、部下との会話を広げることや深めること、はっきりさせることができます。

3. 未来質問
4. 過去質問
未来質問とは、未来に考えを向ける質問です。
部下の可能性を引き出すためにも、「これまでどうだったのか?」と過去のことを質問するより「これからどうしたいのか?」と未来に対する質問を行ったほうが、前向きな対話に近づきます。また未来のことを考えることで、自然と過去の行動を振り返ることにも繋がります。

一方で、過去質問とは、過去起こったことに考えを向ける質問です。
過去のことは変えられません。過去に焦点をあてた質問は原因の追求や部下を問いただすことになりがちです。

【具体例】 未来質問と過去質問

未来質問 過去質問
これから、どうしたら良いと思う? どうしてこうなったんだ?
問題に対してどこまで理解できている? どの問題が把握できていなかったんだ?
成功するために必要なことは何? 失敗してしまったのは何故だ?

5. 肯定質問
6. 否定質問
肯定質問とは、ものごとの肯定的な側面に焦点を当てた、否定の言葉が入らない質問です。同じことを質問しても、「なぜうまく行かないんだ?」とできない理由を質問するより「どうしたらうまくいくと思う?」とできる方法を質問するほうが今後の行動の変化を促すことにつながります。
一方で、否定質問とは、ものごとの否定的な側面に焦点を当てた、否定の言葉を含む質問です。自然と相手を疑うようなネガティブなニュアンスが含まれてしまい、詰問している雰囲気が発生しがちです。

【具体例】肯定質問と否定質問

肯定質問 否定質問
どうしたら上手くいくと思う? なぜ上手くいかないんだ?
次回はどうすれば受注できると思う? どうして受注できないんだ?
この提案の魅力的なところはどこだと思う? この提案のダメなところはどこだと思う?

5つの質問のポイント

強力な威力を発揮する質問力ですが、使い方を間違えると期待している効果とは逆の結果にもなりえます。質問を活用するにあたり、部下との関係を良好にするための5つのポイントをご紹介します。

1. 答えやすい質問から始める
最初の質問は、場の雰囲気作りに大きな影響を与えます。答えやすい質問から始めることで、良好な雰囲気の中で会話を始めることができます。相手が持っている知識や経験では答えることが難しい質問を投げかけても、前には進みません。相手のレベルに合わせた質問をすることも大切です。

2. 質問は短く簡潔にする
質問は短く簡潔に行いましょう。一度に複数の質問をしたり、漠然としすぎる質問をすると部下も混乱します。短く的確にポイントを抑えた質問をすることによって、部下の考えを引き出します。しかし、一問一答的になってはいけません。「課題は?」「予算は?」「要望は?」などは詰問調になりがちです。丁寧な言葉を選びながら話しましょう。

3. 詰問や追求をしない
変えるのが難しいことや、今検討すべきではないことにフォーカスしたり、部下の失敗を責める質問をしてしまうと、部下は攻撃されていると感じ、自分の身を守るために防衛モードに入り、一生懸命言い訳を考えてしまいます。詰問や追求にならないように、未来質問や肯定質問を意識していきましょう。

4. 誘導をしない
「発注は、今月にして頂ける予定ですよね?」など自分の答えや結論を前もって用意してそれにむけて誘導したり、押しつけたり、部下の答えをむげに否定したりしてはいけません。部下の成長を念頭に、部下に自分なりの答えを見つけていくことを期待されている、と感じてもらえるようにすることが重要です。一緒に考える気持ちを持って質問しましょう。

5. 沈黙を恐れない
質問した後、部下は自分の考えを頭の中で整理して考えをまとめています。
その部下が考えている時間の間に、追加で質問したり、自分から答えを言ったりせずに、部下を信じてじっと待ちます。傾聴を思い出してください。質問のスキルは、聴くこととセットで使って大きな効果を生みます。

上司であるあなたの質問の仕方、質問に使う言葉づかいの違いで、部下の意識や行動は大きく変わります。

質問力を鍛えて、部下の前向きな行動を支援しましょう。

続き:部下の成長を支援!人間関係の基本となる承認力とは? 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜


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