傾聴 〜サーバント・リーダーシップを発揮するための重要なコミュニケーションスキル〜

サーバント・リーダーシップが求められる理由 〜現在の管理職に求められる部下育成と組織力を高める方法〜にて実践に必要なパーソナルパワーについてご紹介しました。今回は部下の自主性を引き出す4つのコミュニケーション・スキルから傾聴についてお伝えいたします。

サーバント・リーダーシップを発揮するために重要な4つのコミュニケーションスキル
1. 傾聴
部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力

2. 質問
部下の頭の中にあるものを整理し、気付きを与え、自発的に考えて行動を促していく力

3. 承認
部下を尊重し認め、やる気や意欲を上げて、上司としての信頼感を醸成する力

4. フィードバック
行った活動の結果を振り返り、成功や失敗から学び、改善・向上に繋げる力

傾聴とは

部下の発言を心を込めて深く聴き、共感を通じて部下の気持ちや考えを正しく理解し、信頼関係を築く力です。「聞く」のではなく「聴く」であり、相手に意識を向けて、目で聴き、耳で聴き、心で聴き、何をどのように話しているのかを捉えることが重要になります。真剣に聴くことは、部下と向き合う基本姿勢であるとともに、部下に信頼感を起こさせることにつながります。

部下をお持ちの方、特に忙しい時などに以下のような行動をしてしまってはいないでしょうか?

<傾聴ができていない=部下は話を聴いてもらえていないと感じるケース> 
・忙しそうにして、顔をパソコンやスマホの画面、資料に向けたまま聞く
・そっけないあいづちや生返事をする
・部下が説明している途中で自分の意見を挟む
・話の途中で遮り、「こうすべきだ」とアドバイスや指示を出してしまう
・部下の話を早く終わらせようと、自分から断定的に結論を押しつける

部下は上司に話を聴いてもらえないと感じると、上司にとって自分は重要ではないと感じ、不信感や疎外感、不安を覚え、仕事に対するやる気を失っていきます。

それに対し、しっかり話を聴いてもらえていると感じるのは以下のような対応をしているケースです。

<傾聴ができている=部下は話を聴いてくれていると感じるケース>
・作業の手は安め、話を聞くことに集中する
・部下に顔を向け、体を少し前に傾けた姿勢をとる
・アイコンタクトをしっかりとる
・表情を部下に合わせ、話しやすい雰囲気を作る
・「そうなんですね」、「なるほどですね」など部下の気持ちを汲み取るあいづちを返す
・話の内容を勝手に判断せずに、部下の言っていることを一旦そのまま受けとめる

部下は、自分の上司が気持ちをしっかりと受け止めてくれている、と安心感を得ることにより上司を信頼し、本音で会話をするようになります。

傾聴のメリット

傾聴を実践することで、以下のメリットを得ることができます。

課題の発見:部下を深く理解することで、抱えている課題や重要な点が見えてくる
良好な関係:部下の上司に対する信頼感を醸成し、良い関係を築ける
部下の自己成長:部下に内面をみつめる機会や気づきを与えるきっかけをつくる

傾聴によって得られる「課題の発見」「良好な関係」「部下の自己成長」は組織運営において大きな効果を発揮します。部下の抱えている本当の課題をみつけることで、組織としての課題を正確に把握することができます。良好な関係を構築することで、部下のエンゲージメントも自然に高まり、意欲高く組織に貢献をしてくれます。そして、コミュニケーションが自己成長のきっかけにもなるため、部下が自発的に行動する組織になります。

傾聴力を磨くための3つのテクニック

傾聴を実践していくうえで、傾聴力を向上させることができる3つのテクニックをご紹介します。

1.ミラーリング
2.バックトラッキング
3.パラフレージング

1.ミラーリング
自分の身振りや動作、表情を部下に合わせてあげることで共感を示します。
部下と感情を共有することで、部下との一体感を得ることができます。

2.バックトラッキング
一般的にオウム返しと言われる方法です。部下の言葉をそのまま使い応答することで、相手の伝えようとすることを理解し、共感していることを示します。
部下は自分が伝えようとしていることを理解してくれるかどうか不安に思っています。不安を解消することで本音を語ってくれます。

3.パラフレージング
部下の言葉やフレーズを別の言葉や表現で言い直すことで、部下が伝えようとすることをより深く理解し、共感していることを示します。
異なる表現を用いることによって、部下が自分の話を整理して、気づきを深めていくことができます。

これらのテクニックをうまく組み合わせながら活用していくことで、傾聴が深まっていきます。しかし傾聴で一番大切なことは、心から相手のことだけを考えて向き合うことです。自分の保身や組織の業績をあげたいという考えだけで部下と向きあい、テクニックだけを多用すると相手にもそのことが伝わり、見透かされてしまいます。意図しない逆の結果にもなり得ますので、テクニックの乱用には注意しましょう。

まとめ

これまで傾聴を意識したことがない人が改めて意識しようとすると、つい口を挟みたくなったり、時間の無駄だと感じてしまったりと我慢が必要になるかもしれません。しかし、自分の考えを押し付けていては、部下からの信頼を得ることはできません。ビジネスのスピードが早くなり、昔と比べると市場環境も大きく変わってきています。以前は正しかった自分の考えが必ずしも現在も正しいとも限りません。
傾聴を実践するには、先入観を持たずに相手の立場に立って考えることが大切です。サーバント・リーダーシップを発揮して強固な組織の構築へ、まずは傾聴を意識してみてはいかがでしょうか。

続き:質問力を鍛えて上司・部下のコミュニケーションを円滑にする!6つの質問の種類と5つのポイント 〜サーバント・リーダーシップを発揮する〜