米国在住マーケティングマネージャーが語るHRテクノロジーの最新事情 – セレブレイン中澤 佳奈生 × セレブレイン高橋 敦子

セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第8回ゲストは、セレブレイン マーケティング マネージャーで米国在住の中澤 佳奈生さん(写真左)。HRテクノロジーの本場・カリフォルニアの最新事情についてお話いただきました。聞き手はセレブレイン代表取締役副社長・高橋 敦子が務めます。

第8回ゲスト:中澤 佳奈生さん略歴
30年以上に渡り日米間でERPシステムを中心としたソフトウェアの企画、開発、運用に携わっている。2007年より米国に拠点を移し、米国の日系企業を中心とする管理会計のコンサルティングの業務を行いながら、クラウドベースのソフトウェア開発に携わる。この5年ほどは インターネットを活用した食ビジネスに範囲を広げ、 食の生産者・販売業者と消費者を結ぶサービスを立ち上げている。セレブレインでは、これまでの経験を活かして、米国を中心としたグローバルにおけるHRテクノロジーのマーケットリサーチや、アライアンスをリードしている。米国カリフォルニア州オレンジカウンティ在住。

米国はもっともHRテクノロジーの進んだ国

高橋:中澤さん、お久しぶりです! 本日は茜坂にようこそ。いつもは米国と日本で離れて仕事をさせていただいていますが、やっぱりこうして顔を合わせてお話できるのはいいですね。ぜひ和食とワインのペアリングを楽しんでください。

中澤:ありがとうございます。和食とワインのペアリングはとても楽しみです。カリフォルニアにも和食のお店はあるけれど、やっぱり日本で食べる和食はいいですね。特にセレブールのお店、料理もワインも本当においしいから楽しみです。

高橋:それじゃあ再会を祝して乾杯しましょう!

中山/ソムリエ:中澤様、ようこそ茜坂へ。ソムリエの中山です。本日は乾杯用にシャンパーニュをご用意いたしました。200年続くシャンパーニュメゾン、「R&L ルグラ」のブラン・ド・ブランです。

中澤:わっ、これすごくおいしい!

高橋:キリッと冷えていて立ち上る泡も繊細ですね。すばらしくエレガントです。

中澤:ブラン・ド・ブランっていうんですね。

中山/ソムリエ:はい。白ぶどうだけで作ったシャンパーニュのことをそのように呼びます。爽やかで夏にぴったりかと思います。

高橋:本当にそうですね。

中澤:ああ、もうすごく幸せ(笑)。

高橋:そうですね(笑)。このまま飲んでしまいそうだけど、今日はお話も楽しみにしていました。HRテクノロジーの本場といえばやっぱりカリフォルニア。中澤さんは2007年に渡米されて以降、ずっとカリフォルニアでお仕事されていますよね。

中澤:はい、そうなんです。テクノロジーベースで仕事をするにあたって、エンジニアにとっては働く環境や学べる環境が米国と日本で大きく異なるので、なかなか帰国して仕事するに至りませんでした。今、セレブレインと一緒に取組みを推進している「HRテクノロジー」の分野でも米国がもっとも進んでいると思っています。昔、日本で人事システムの開発に携わったことがありましたが、そのときはまさかこんなにテクノロジーが進化した時代がやってくるとは思わなかったです。

高橋:米国以外の状況はどうなのでしょう。

中澤:昨年ラスベガスで開催された大規模なHRテクノロジーカンファレンスにはヨーロッパの企業も多く出展していました。スペイン、イギリスなどの企業に加えて、最近はインドのスタートアップ企業が多く参加しており、世界各国でも盛り上がりをみせています。

高橋:そのように伺うと、日本はまだまだ世界に出ていくようなレベルじゃないのかなって思いますよね。

中澤:そうですね、日本企業をワールドワイドなカンファレンスで見かけることはまだ少ないですね。

中山/ソムリエ:シャンパーニュに合わせて最初のお料理をお持ちしました。前菜の盛り合わせには、長芋を使った素麺、煎り酒のジュレ。香り付けのオリーブオイルは小豆島のものを使用しています。そして三つ葉ととり貝のおひたし、生雲丹と生の湯葉。笹の上に載っているのは酢だことトマト、鯛を昆布締めにしたものを笹巻にしました。それから五三竹を胡麻和えに。イサキの真子、白子、鮎の南蛮漬けです。

中澤:すごい! 盛りだくさんですね!

高橋:豪華ですね!

中澤:やっぱり日本で食べる和食はいいですね。

高橋:話はそれてしまいますが、最近のシリコンバレーにおける日本食事情はどのようでしょうか?

中澤:天ぷらなどに関してはだいぶレベルがあがってはきましたよ。どちらかといえばカジュアルなイメージですね。美味しくなってきていて、安心して食べられる店も増えてきました。高級というとお寿司になることが多いかもしれません。ただ、ここまで季節感のある日本料理はなかなか食べることができないですね。米国では、お料理をシェアする文化もあって、ラーメンなんかもシェアして食べたりするのは面白いところですね。

中澤:そういえば、最近、セレブレインでは「AIエンジンを活用した人事データ分析」をテーマにしたセミナーを開催していますが、反響はどうでしょうか? 日本における状況はどうなんだろうと気になっていました。

高橋:シリコンバレーでは、すでに当たり前のようにAIや機械学習を活用してビジネスを推進したり、改善したりといったことが行われていますが、日本ではまだ一部のプロフェッショナル組織以外ではなかなか浸透していないのが現状、ということもあって、かなり反響はいいですね。特に数字から判断して意思決定をすることから最も遠い存在に見える人事の世界で、AIやデータをどう活用していけばよいのか、と大きな興味を持って頂いています。

中澤:そうなんですね。ようやく日本の人事部門でも本格的にテクノロジーやAIの活用が始まろうとしているのですね。カリフォルニアでは、人事部門にもデータサイエンティストがかなり多く存在するようになってきています。しかもかなりの割合で女性が活躍していますよ。もちろん、人事のみならずあらゆる部門でデータサイエンティストが活躍しているので、いまやシリコンバレーでは最も採用が難しい職種のひとつとして、大変な争奪戦が起こっています。

高橋:日本でもデータサイエンティストの採用をご要望頂くことは大変増えていますが、米国ではさらに激しそうですね。データサイエンティストに女性が多いというのは少し新鮮ですね。

中澤:カリフォルニアでは、データサイエンティスト以外にも、人事部門には基本的に女性の数が圧倒的に多いですよ。人事的な問題は慎重を要する必要のあることも多いので、女性の方が角が立たないってことはあるのかもしれません。米国では身だしなみの指摘ひとつにしても、人事が絡むんですよ。たとえばスカートの丈が短いんじゃないかっていう指摘も、上司じゃなくて人事を通して本人に伝えたりします。

高橋:そうなんですね。そのあたりは日本と文化や価値観の差が出るところですね。

中澤:でも実は、シリコンバレーってやっぱり男性社会?と感じることも多々ありますよ。女性で要職についている人の数は多いですが、経営の中心にはやはり男性の方が多いのは事実です。日本でも、最近は女性の登用などが結構進んできていますよね?

高橋:ええ。日本でも女性活躍推進法が施行されまして、女性管理職の比率も高めていく取組みが進んできています。ただ、全体としてはようやく努力目標レベルという感じで、まだまだ道半ばですね。

中澤:米国ではEEO(Equal Employment Opportunities)という、日本における雇用機会均等法に該当するルールがありまして、男女だけじゃなく、人種、年齢、国籍など、雇用上のあらゆる決定において差別を禁止する規定になっていますので、採用には細心の注意が求められます。ただ、もちろん応募時には人種や男女、年齢などがわからないようにはなっているけど、結局名前のラストネームから推測して、人種や男女を見分けて、採らないようにしている会社なんかは、米国でもあったりしますね。

高橋:ダイバーシティの国でも、そんな実態もあるんですね。

中山/ソムリエ:続いてのお料理です。「フォアグラ飯蒸し」はもち米にフォアグラを合わせた当店のスペシャリテでございます。お酒はもち米に合わせて石川県・鶴野酒造さんの「茜坂」をどうぞ。無濾過の生原酒でお米の甘みがしっかり残っていますよ。

中澤:「茜坂」というとお店の名前と同じですね!

高橋:実は当店のために鶴野酒造さんにつくっていただいたお酒なんです。茜坂は和食とワインのマリアージュを楽しめるお店ですが、こうして日本酒もお出ししているんですよ。

中澤:うーん、すごい! たしかにぴったりですね。すごく贅沢な味わいです。

高橋:ワインだとフォアグラにはソーテルヌが定番だけど、甘めの日本酒もすばらしいマリアージュを見せてくれますね。

中澤:今日のお料理、どれも本当においしくて華やかで……すごいです。

高橋:この後も楽しみですね! 人事のお話に戻りますが、HRテックについて、米国ならではと感じることはありますか?

中澤:採用でいうと、ビデオ面接がかなり多くなってきています。以前からスカイプやテレカンでの面接は普通に行われてもきましたが、最近はビデオ面接のテクノロジーがかなり進化して、リアルタイムで面接しているのと全く変わらないパフォーマンスを発揮しているようです。

高橋:日本でもなくはないけれど、まだまだ。差は大きいですね。弊社でもお客様にはかなりお勧めしているのですが、普及が進むにはまだまだ壁があるのを感じています。どうしても、「直接会わないと評価できない」という思い込みが強いようです。最終面接までのプロセスを効率的にできることや、データを残して判断に活用できること、複数人で評価できる、というメリットも大きいと感じてはいるのですが。

中澤:なるほどね。日本では、遠いといっても米国ほど国内移動にも時間がかからないので、直接会いましょうということになるのかもしれないですね。ただ遠方だとやはり交通費もかかるので、ビデオ面接はもっと普及してもいいと思いますね。

高橋:その通りですね。採用ひとつとってもお国柄が出ますが、採用後についてはいかがですか?

中澤:日本と大きく違うのが、米国は小さな会社でも1on1ミーティングをしっかりと実施するところが多いことですね。不満があるとしたらそれは何か、パフォーマンスが上がっていないならその原因は何なのか、2週間に一度は上司と向き合って話をして、その声が反映されるんです。

高橋:最近は日本でも同じような制度を導入する会社も増えてきましたが、まだ一部の先進的なビジネスモデルの会社くらいですね。でも、新しい取組みに対する情報伝達スピードが圧倒的に上がってきているので、学習段階の企業は増えているのではないかと。1on1をサポートするシステムも出てきているので、GAPは埋まってくると私は思っています。

中澤:色んな意味で米国の方が日本より厳しいというのも理由の一つかもしれませんね。契約社会だし、何かあると訴訟につながったりしますから。システムと数字で明快に管理しないとダメなんです。だから、そこでまたデータサイエンティストが必要ということになりますね。

中山/ソムリエ:メインディッシュに「和牛と花山椒のしゃぶしゃぶ」をお持ちしました。ワインはアントナン・ロデのサヴィニー・レ・ボーヌ1999です。とろけるような肉の味わいと熟成したブルゴーニュワインとのしっとりとしたマリアージュをお楽しみください。

中澤:もう、お肉の見た目がすごいです(笑)。

高橋:きれいな色合いですよね。しゃぶしゃぶで贅沢にいただきましょう。

中澤:うーん! たまらないです! 旨味がすごくて、口の中でとろけた後もずっと余韻が残っています。

高橋:ブルゴーニュの熟成したピノ・ノワールが絶妙ですね!

中澤:本当に、最高の組み合わせですね。なんでこんなにワインと合うのかしら。

中山/ソムリエ:かつおだしや昆布出汁などの旨味と、熟成したブルゴーニュの出汁感が合うんですよ。花山椒も良いアクセントになっていると思います。

中澤:なるほど、たしかにワインにも出汁の要素がありますね! おもしろいです。

高橋:楽しんでいただけてよかったです!

中澤:こちらの茜坂は、和食とワインのペアリングがコンセプトなんですよね。最近は日本でもそういうお店が増えているんですか?

高橋:どうでしょう。増えてはいると思いますが、まだ発展途上のジャンルだと思います。本格的な和食とのペアリングでは、茜坂はかなり自信を持っています。

中澤:すばらしいと思います!

高橋:和食とワインなら日本も負けていないんだけど!
ただ、日本でも徐々にHRテクノロジーやAI/データサイエンスの世界も間違いなく浸透してきているので、あるタイミングで一気に変わる気もしてます!

中澤:そうですね。私は離れているので、日本では何がきっかけになるかはわからないけど、楽しみですね。

高橋:……という話を私たちは90年代からずっとしているんですけどね(笑)。HRテクノロジーの普及に向けて、もっとがんばっていこうと改めて思いました。中澤さん、今日はありがとうございました。

今回のお店

ワインと和食 茜坂

赤坂駅徒歩2分。落ち着いた和空間で素材を極力シンプルに生かした純和食とワインのペアリングが楽しめます。完全個室からカウンター席まで完備。板前・ホール全員がソムリエの資格を持ち、コースに合う最適なワインをご用意しております。
取材を終えて
ライター・カメラマンの山田井です。

中澤さんから米国のHR最新事情を伺うことができ、改めて日本との違いが浮き彫りになりました。今後、日本でもHRテクノロジーが普及していくと思われますが、どのような形で広まっていくのか注目したいところです。

さて、今回のお料理とワインですが、どれも見事なペアリングでした。それぞれ単体でもすばらしい品々なのですが、ワイン、そして日本酒が組み合わさることで極上の味わいとなります。

フォアグラと日本酒、そしてしゃぶしゃぶと熟成ブルゴーニュはぜひ一度、体験していただきたいマリアージュでした。