コーチングのスキルをマネジメントに活かす!GROWモデルとは?

「部下が自発的に行動し、成長しながら成果を上げる」メンバーを持つ方なら誰しもが理想として考えることではないでしょうか。自発的に行動をしてもらうためには、上司であるあなたが自発的な行動を促す必要があります。今回は部下の成長を支援するコーチングのスキルでもあるGROWモデルについてご紹介します。

GROWモデルとは?

GROWモデルとは、上司が部下を自発的に考えさせ、行動させるための気づきと学びのサイクルを回すコーチングの基本スキルです。ビジネスコーチングを広めた権威でもある英国のJohn Whitmore(ジョン・ウィットモア)氏が開発に大きな貢献をしたと言われています。
G:Goal、R:Reality/Resource、O:Options、W:Will の頭文字からきており、
「G:Goal 目標の明確化」
「R:Reality/Resource 現実の把握/資源の発見」
「O:Options 選択肢の創造」
「W:Will 行動計画と目標達成の意志」
を表しています。
対象相手にGROWを質問を通じて明確に気づかせることを目的にしており、マネジメントだけでなく、日常的なシーンにも活用できる問題解決のプロセスです。

コーチングとティーチングの違い

GROWモデルの詳細の説明をする前にコーチングとティーチングの違いをご説明します。

コーチングは、ティーチングのように相手に指示や助言を与えるのではなく、相手の自発的な行動を引き出すことで目標達成に導く手法になります。答えは相手が持っているという考えを前提に、教えるのではなく、学び成長することを手助けしていきます。

コーチングの基本ステップは、部下の認識を高め、責任を持つように支援することです。
向かうべき目標を明確にし、目標に到達するために現状をしっかり把握し、その上で考えうる選択肢を洗い出し、意志を持って取り組むように促す。これら一連のプロセスを整理し、体系化しているのがGROWモデルです。

GROWモデル質問例

コーチングでは質問を通じて、目標達成に向けて導いていきます。GROWモデルのそれぞれのプロセスにおける質問例をご紹介します。

(1) G:GOAL
目標の明確化:期待する効果やどうなっていたら良いのかを具体的にイメージする

目標を明確化する効果的な質問例
 ・この仕事の目標は何ですか?
 ・長期的な目標は何ですか?
 ・目標が達成されたときに、心に描いているイメージはどのようなものですか?
 ・その目標に少し無理があるようなら、どんな中間目標を考えられますか?
 ・マイルストーンは何ですか?
 ・今の目標に対して、あなた自身どのような影響力を持っていますか?
 ・その目標はどのくらい達成可能ですか?それをどう測定しますか?

行動を促すうえで目標を明確に定め、認識させることはとても重要です。目標を納得し、理解をしているか、質問を通じて深いところまで浸透させていきましょう。

(2-1)R:REALITY
現実の把握:今どのような状態なのか事実を明確にする。また現状に対する原因や阻害要因を探る

現実を把握するための効果的な質問例
・事実として、何が起きていますか?
・今、何が問題だと感じていますか?
・それで、今どのように状況を考えていますか?
・今、目標の何%のところまで達成できていると思いますか?
・もし、このままだと、他の人やあなた自身にどのような影響が出ますか?
・担当している仕事で、一番充実しているのはどの部分で、一番そう感じないのはどの部分ですか?

目標への現在の到達具合を聞き出す質問を通して、目標達成に必要な情報を部下から引き出しましょう。到達あるいは解決したい姿と現実のギャップを明確にし、「それがどうなれば望ましいのか」という理想の目標をさらに明確にします。特に、事柄の内容だけではなく、部下の感情を理解・把握することも大切です。現状と目標のギャップに関して部下が抱いている感情に共感すると、信頼感を得ることができます。

(2-2)R:RESOURCE
資源の発見:目標を達成するために使える「経営資源」にはどのようなものがあるか? 人、モノ、金、情報、時間を発見する

資源を発見するための効果的な質問
・誰かそのテーマに詳しい人の力を借りられないですか?
・今までの企画書や提案書の中で使えるものはないですか?
・何かプレゼンに使えるツールはありませんか?
・営業部門から、どんな協力があったら助かりますか?
・過去の取組みから得られそうな良いヒントはないですか?
・新しい技術を使う方法はありませんか?
・他に予算を引き出せる方法はありませんか?

部下自身の内側にある資源(成功体験、得意分野、温めていたアイデア等)に気づき、それらを効果的に活用できるように質問しましょう。部下は自ら気づくことで、主体的に動くようになります。

(3)O:OPTIONS
選択肢の創造:選択肢を探す。自己選択する

選択肢を創造するための効果的な質問
・これまで実行した中で最高の方法は何ですか?
・今まで試したことのない新しい方法はありますか?
・これまでの方法をひとひねりするとどうなりますか?
・他社では、どんなやり方をしていますか?
・もし君がお客さんだったらどうしてほしいですか?
・他に方法はありませんか?
・もし敏腕のAさんだったらどんなやり方をすると思いますか?

解決のための選択肢の検討にあたっては、いつものやり方を繰り返すのではなく、多くの選択肢を考え、検討し、その中からベストを選ぶようにしましょう。上司も一緒に考え、アイデアを引き出す、部下が出してきたどんな選択肢もすぐに否定しないことが重要です。

(4)W:WILL
行動計画と目標達成の意志:アクション・プランを作成する。実行に対する責任を持つ。測定基準を設定する

行動計画と目標達成の意志を引き出す効果的な質問
・その目標を達成する具体的な行動計画を立ててみませんか?
・最初の活動の第1歩はどこから始めますか?
・その方針で進めるとして、いつまでにできますか?
・最終ゴールに向けて、今月末までにどこまでできますか?
・一週間以内にやるとしたら、何をしますか?
・これをやりとげたら、どんな気持ちになりますか?

目標達成のための「具体的な行動計画」を策定し、定めた目標を必ず達成する強い意志とやる気を確認しましょう。「いつまでに、これを実施しなさい」と上司が指示するのではなく、「私は、いつまでにこれをやります!」と部下に自分で宣言させて、意欲を引き出すことが大切です。

まとめ

現在、部下に対して自発的な行動を促すことができているか、確認するために以下の質問を用意しました。

・ あなたは、部下に仕事を依頼するとき、仕事の目標(どのような状態になったらこの仕事は完了したといえるのか)について、意識して部下に考えさせていますか?

・あなたは、部下に仕事を依頼するとき、この仕事を通して部下に成長してもらおうと意識して仕事を依頼することがありますか?

・ あなたは、部下に仕事を依頼するとき、意識して部下が活用できるリソース(人、物、金、情報、時間)について考えさせていますか?

これらの質問に対して、具体的な事象とともに回答ができる場合は、部下に自発的な行動を促すように接することができていることでしょう。
もし、できていない場合は、今回ご紹介したGROWモデルの活用にぜひトライしてみてください。きっと、部下が自発的に行動し、成長スピードが飛躍的に上昇します。
部下の成長は上司であるあなたの接し方が大きく影響しています。部下が自発的に行動しないとお悩みの方はぜひ自分の接し方を変えてみてはいかがでしょうか?