米国のHRテックと日本企業の意外なつながりとは – タレンタ石橋愼一郎さん × セレブレイン高城幸司【前編】

セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第3回ゲストは、株式会社タレンタCEO・石橋愼一郎さん。ベンチャー支援を始めた経緯や、同社が提供するデジタル面接プラットフォーム「HireVue」について、セレブレイン代表取締役社長・高城幸司と対談しました。

第3回ゲスト:石橋愼一郎さん略歴
IBM、オラクルをはじめとする著名なIT企業において上級管理職を歴任した後、創設時からのパートナーであるサンブリッジ株式会社においていくつもの新規事業を立ち上げてきた。日本におけるテクノロジービジネスの発展を30年以上に亘ってリードし、現在はタレンタ株式会社のCEOとしてHRテックの普及に注力している。

石橋氏がサンブリッジを創業し、ベンチャー投資を始めた理由

高城:石橋さん、ようこそいらっしゃいました。何でも石橋さんはかなりのグルメだとか。

石橋:食事するのは大好きですね。和食も洋食も、B級グルメから三ツ星まで、僕ほどカバーしている人はいないと自負しているくらいです(笑)。

高城:それはすばらしい! 今夜はぜひカリフォルニアのワインとお食事を楽しんでいただきながら、石橋さんのこれまでのご経歴や日本の人事業界についてお話を伺えたらと思っています。

石橋:こちらこそよろしくお願いします。

高城:石橋さんはIBMやオラクルでプロダクトマネージャーやマーケティング本部長を務められた後、サンブリッジを創業して日本のベンチャーをずっと支援してこられましたよね。そういった取り組みがまさに今花開いているわけですが、そもそもなぜベンチャー投資業務に関する仕事をされることになったのですか?

石橋:サンブリッジは1999年に、日本オラクルの代表だった佐野さんや日本オラクル初代代表のアレン・マイナーと一緒にスタートした会社です。当時、日本のITベンチャーの数は非常に少なかったので、もっと活性化していきたいという思いが背景にありました。

高城:当時からアメリカではシリコンバレーを中心にベンチャー企業が次々に生まれていましたよね。日本との違いは何だったのでしょう。

石橋:シリコンバレーは成功した人がエンジェル投資家になり、次の人に投資するというエコシステムが出来上がっていたからです。そのやり方を日本に持ってこようという発想がサンブリッジのビジョンでした。インフラ、マーケティング営業支援、技術支援という三位一体の支援をすることで、どんどんITベンチャーを成功させてEXITし、リターンを得るというビジネスモデルだったのです。余談ですが……サンブリッジという社名は、日出ずる国としての日本と戦後の日本にとって太陽のような存在だったアメリカ、二つの太陽を結びつけるという意味でサン(太陽)ブリッジ(橋)と名付けました。

高城:そんな由来があったのですね!

デジタル面接プラットフォーム「HireVue」は企業にどう活用されているのか

高城:最初のお料理とワインが来ました。

ソムリエ:ベーコンとホワイトマッシュルームをたっぷり入れたほうれん草のサラダです。合わせるワインは最近カリフォルニアでも流行っているナチュールワイン。ブロックセラーズという作り手の白ワインをご用意しました。

石橋:ありがとうございます。……うん、これはおいしい。カリフォルニアテイストですね。ワインのミネラル感がほうれん草の鉄分によくマッチします。

ソムリエ:マルサンヌというぶどう品種を90%使ったワインで、飲みごたえがありますよね。

石橋:カリフォルニアには面白いワインが多いですよね。実は最近、ワインスクールに通っているんですよ。

高城:えっ、そうなんですか。では今日はぜひカリフォルニアのワインを楽しんでいってください。さて、お話を戻しますが、ベンチャー支援を行う上では”目利き”が重要になってくると思います。何かポイントはあるのでしょうか?

石橋:いくつかあります。まず製品そのものの技術バックグラウンドがしっかりしているか、それから優秀な人材がいるか、そして社長がどんな資質の人なのかです。芯はしっかりしているけれど、人の言うことにも耳を傾けられるかどうか?など。そういうところも成功できる要素のひとつですね。

高城:なるほど。確かにそうですね。石橋さんが特に「人」に着目してビジネスを展開されるようになったのはいつ頃からでしょうか。

石橋:人を意識し始めたのはサンブリッジの創業から間もない2000年前半くらいでしたね。リーダー採用を手伝ったり、マーケティング支援をしたりしていたのですが、会社が成長するとそれに伴う”軋み”が出てくることがわかったのです。組織をどう運営するのか、人の評価をどうすればいいのか。そういった課題を解決するために開発された製品が、社員のスキルを可視化する「3Rings」です。

高城:タレンタでは他にも360度多面評価システムの「SilkRoad Performance」やデジタル面接プラットフォームの「HireVue」を提供されていますよね。

石橋:今メインでやっているのは「HireVue」で、これは採用面接をウェブの録画やライブ形式で行うというプラットフォームです。アメリカでもすでに700社くらいの企業が採用しており、大企業も数多く使っています。たとえば某IT企業がAIの研究者をグローバルで採用する際、「HireVue」で数千人を面接し、そこを通過した人をニューヨークに呼んで対面で面接するという方法をとっている事例もあります。

高城:日本ではそういったやり方は受け入れられるのでしょうか。

石橋:時期尚早かなと思ったのですが、ミレニアル世代の若者はスマホで育っていますから、デジタルに対する恐怖感はないようですね。デジタル面接でも自分の意見なりをしっかりと主張できています。すでに大手企業にも「HireVue」を採用いただいているんですよ。ユニークな使われ方をしている企業も多く、とあるサービス業の大手企業では設問の代わりに「ケーススタディ」をHireVueで実施したりしています。設置した具体的なシチュエーションに対して、どういうリアクションや言葉遣い、表情で対応をするかを見て判断するそうです。

高城:それは面白く興味深いですね。デジタル面接ならではですね。他にデジタル面接のメリットはどのようなところにありますか?

石橋:映像の記録が残るので、より多くの人によって判断できます。公平性が高く、その場で議論しながら評価出来るので、ばらつきがなくなるのです。

高城:実は私としては最初、採用ツールとしてのデジタル面接には懐疑的な部分があったんですよ。採用って人がやるべきでしょうと。でもあっという間に普及してきて、分野によっては採用のデファクトスタンダードになるのかもと感じています。業務効率化という点でも、候補者にとっての利便性からも画期的ですよね。

石橋:その意味では大きいですね。会場を用意しなくていいし、応募者と面接官のスケジュールを合わせなくてもいい。わざわざ遠くから来てもらうことがないので、双方にとってメリットが大きいです。

高城:今後は面接全体が置き換わっていくのでしょうか。

石橋:今のところは履歴書やエントリーシートなどのペーパーワーク、または一次面接までを効率化しているのが現実ですが、今後はもっと範囲は広まると思います。

タレンタが提供するサービスはすべて連動している

高城:二皿目のお料理をいただきましょう。

ソムリエ:スクランブルエッグ 雲丹のカプチーノ仕立てにオレンジワインのマサイアソン リボッラ・ジャッラを合わせます。

石橋:ほう、オレンジワインですか!

ソムリエ:白ワインを赤ワインの製法で作るもので、ギュッとつまった旨味が雲丹の濃厚さとよく合います。リボッラ・ジアッラという品種はもともとイタリアの品種なんですが、それをカリフォルニアでオレンジワインにしたものです。

石橋:いや、これは本当にすばらしいですね。

高城:石橋さんはお好きなお料理のジャンルは?

石橋:京味系の和食が多いですね。走りと旬と名残の3つを楽しんでいますよ。

高城:ではお話に戻りましょう。御社では今現在「HireVue」や「SilkRoad Performance」、「3Rings」と多様なサービスを展開されていますが、全体としてはどんなビジョンを描いてらっしゃるのですか?

石橋:実はこれらのツールはすべて連動しているんです。既存の社員に対してのHRソリューション製品と採用のソリューション製品は分断されていることが多いのですが、経営者から見ると本来はつながっているべきなのです。

高城:といいますと?

石橋:どういう社員を入れるのかは既存の社員を見て判断しないといけませんし、どういう社員教育を行うべきなのかは、どんな社員が入ってきたのかによっても変わります。また、どういう教育をしてどのように社員を育てるのか、その結果によって次にどういう社員を採用するのかが決まります。

高城:なるほど。採用面接から社員のスキル可視化、そして360度評価……そのすべてをタレンタのサービスがサポートしてくれるというわけですね。

前編では、サンブリッジを創業してベンチャー支援を始めたきっかけから、”人”に注目して数々のHRテックサービスを手がけることになった経緯をお話いただきました。

次回、後編ではアメリカが先行するHRテックが実はかつての日本企業の取り組みと深い関係があったという興味深いお話や、日本が今後HRテックでブレイクスルーを迎えるにはどうすればいいのかという見解などをお聞きします。

お料理の方はいよいよメインディッシュが登場! あじる亭カリフォルニアを代表する肉料理とカリフォルニアワインのマリアージュをお楽しみに!

今回のお店
あじる亭カリフォルニア

地下鉄赤坂・赤坂見附からすぐのアメリカワイン専門ダイニング。カジュアルなワインから希少性の高いカルトワインまで200種類以上の品揃え。カリフォルニアキュイジーヌを意識した創作料理がワインと絶妙にマリアージュします。

<本日のワインと料理>

本日お楽しみいただいたワインと料理、そのマリアージュについてご紹介します。

ほうれん草のサラダ
ベーコンとマッシュルームをたっぷりのせたカリフォルニアで大人気のほうれん草のサラダ。日本ではあまり見かけない生のほうれん草の滋味に身体が喜ぶ一皿です。

ブロックセラーズ ラブ・ホワイト
カリフォルニアセントラルコーストで栽培されるマルサンヌとルーサンヌを使用した自然派ワイン。フルーティーでさわやかな味わいながら、しっかりした飲みごたえもあり。奥に感じるミネラル感がサラダなどにもマッチする他、単体で飲んでも楽しめます。

スクランブルエッグ 雲丹のカプチーノ仕立て

濃厚な雲丹の香りと風味を楽しめる一皿。とろけるような舌触りと口いっぱいに広がる香り、そしていつまでも余韻として残る深いコク。五感すべてで楽しめる一品です。

マサイアソン リボッラ・ジャッラ
イタリアの品種、リボッラ・ジアッラ100%のオレンジワイン。皮と梗を含めて発酵させるスキンコンタクトという製法で作られます。ぶどうのうまみが凝縮しており、同じくうまみ成分の強い料理に完璧に寄り添います。