新しい社員の早期戦力化!『オンボーディング』の勧め

日本ではまだまだ馴染みが薄く、あまり導入されていない「オンボーディング」。一方で、欧米では既に当たり前のように様々な企業に導入されています。
今回はそんな「オンボーディング」についてご紹介します。

オンボーディングとは?

オンボーディングとは、企業が新しい社員を迎え入れる際に、「Day 1 Readiness デイワンレディネス(=組織の一員として入社1日目から最大のパフォーマンスを発揮できるようにすること)」を意図した「内定から入社後までの一連の受け入れ・定着プロセス」のことを指します。
例えば、新たに採用した社員がすぐに退職してしまったり、入社後なかなか配属先で活躍できないなど、そんな課題をお持ちの人事担当者の方は、オンボーディングの仕組みを構築することで、新しく迎い入れた社員の離職率の改善や早期活躍を促進することができます。

これから入社する人材に対して、伝えなくてはならない情報は意外と数多く存在します。
例えば、契約関連、人事関連、IT関連、などの手続き業務の他にも、企業が大切にしている価値観や方針の伝達、所属チームやメンバーの紹介、業務に必要な知識、オフィス周辺のランチ事情などを事前に共有することで、企業のことをより深く理解できるとともに、入社前から働くイメージを持ってもらうことができます。新しく入社する社員を歓迎し、迎い入れるための準備をしっかりと行うことで、所属する組織へ慣れ親しんでいくことやスムーズに立ち上がっていくことにつながります。

企業により必要となるプログラムは変わるかもしれませんが、小さなつまづきを防ぎ、より前向きな気持で仕事に取り組むために継続的な支援を行うことは、組織の生産性と社員のエンゲージメントを高めることにつながるのではないでしょうか。新しく入社する社員の最初の従業員体験がオンボーディングとなるのですから。

具体的なツール

日本では、入社後に集中してオリエンテーションや研修を行うケースが多いですが、新卒一括採用がなく、毎月のように新たな社員を受け入れている欧米企業では、オンボーディングプロセスを通じて個々の社員の受け入れを行っています。そのため、欧米ではプロセス管理を効率化すべくこの分野におけるツールが数多くリリースされています。

HROnboard https://hronboard.me/
2002年設立のオーストラリア メルボルンの会社が提供しているツールです。もともとは人事コンサルティングの会社でしたが、サービス提供するうえで使いやすいツールがなかったことから自ら開発し2013年にリリースされました。2016年に100社の企業に導入され、政府やNPO、金融、病院、小売、人材など幅広い業界で利用されています。

Click boarding https://www.clickboarding.com/
2013年設立のアメリカ ミネアポリスの会社が提供しているツールです。HRに関連する様々なツール(人事情報システム、採用管理システム、給与計算システムなど)との連携が可能です。

オンボーディングのツールは、内定時から入社後の一定期間まで継続したコミュニケーションが行われることや配属される組織やポジションなど、対象者に応じて個々にパーソナライズされていること、人事部門だけではなく現場の組織も関わることなどが特長です。毎月のように社員が入社する企業では、ペーパーレス化や自動化による業務効率化の恩恵も受けられます。内定時に必要となる標準的なタスクやフォームをテンプレート化したり、ダッシュボードや各種レポートでタスクの進捗状況を把握することで、タイムリーなフォローも可能となります。

また、これらのツールは内定時のプロセス管理に利用されるだけでなく、M&Aでの会社統合の際のタスク管理や各種ライフイベント(退職/異動/産休・育休など)のタスク管理にも活用されています。

日本でも労務管理を行うクラウドサービスが普及してきていますが、「オンボーディング」まで行うサービスはまだまだ普及していません。グローバルに事業を展開している企業では利用しているケースもでてきていますので、今後のHRテックのトレンドとして日本の企業でも導入が進んでいくのではないかと思われます。

まとめ

「オンボーディング」のツールについて導入メリットを整理すると
人事担当者のメリット:業務効率化、早期戦力化
内定者のメリット:モチベーションの向上

になります。

入社が決まった内定者の立場に立つと、入社するまでは不安と期待が入り交じった状態にいます。入社日まで特にフォローもなく、放置されていたりすると会社への不信感、モチベーションの低下にも結びつきかねません。一方で、新入社員に対して戦略的にフォローを行うことで入社後のモチベーションやパフォーマンスを最大に上げることができます。

属人的に管理し対応するのではなく、システム導入などを通じたプロセスの標準化や、内定者と迎え入れる企業の双方にとってどのようなコミュニケーションをとることがDay 1 Readinessにつながるのかをしっかりと事前に検討することで、戦略的な「オンボーディング」が実現されます。数年前と比較し、転職者が増えてきている昨今、採用にも多大なコストが発生しています。人材が不足しているとのニュースが多い中、新たに入社する人材の活躍は誰もが望むことです。今後の日本でも「オンボーディング」への理解が浸透し、構築していく企業は増えてくるのではないでしょうか。