エンゲージメントを高めることで企業に起きる変化とは? – スタメン 大西泰平さん × セレブレイン 山田和彦【前編】

セレブレインのコンサルタントとゲストが、ワインと料理を楽しみながら人事について本音で語り合う対談企画。第10回ゲストは、株式会社スタメン取締役マーケティング部長の大西泰平さん。昨今の人事業界でトレンドワードとなっているエンゲージメント経営についてお話を伺いました。聞き手はセレブレイン コンサルタント・山田 和彦が務めます。

第10回ゲスト:大西泰平さん略歴
1984年生まれ。大阪府出身。筑波大学卒業後、広告会社 大広に入社。2012年よりファーストリテイリングのユニクロ事業に従事。その後、語学留学を経て2014年よりnanilani,inc.でフロントエンジニア、Sekai Labでベトナム拠点事業責任者を務める。2016年8月より取締役として株式会社スタメンに参画する。

シャルキュトリーに合わせるのはドイツの白ワイン!

山田:大西さん、本日はあじる亭にようこそ!

大西:お招きありがとうございます。素敵なレストランですね。こちらはセレブレインさんが運営されているのですよね?

山田:ええ。セレブレインの関連会社であるセレブールが展開するお店の一つです。サラリーマンの方々が自分の財布で気軽においしくワインと食事を楽しめるというコンセプトのカジュアルなビストロです。開店したのはもう13年前になりますね。

大西:長く愛されているお店なのですね。実は以前、私も赤坂で働いていたことがありました。

山田:そうでしたか。大西さんはお酒を飲まれますか?

大西:飲みますよ。ワインも好きです。あまり詳しくはないんですけど。

山田:ワインがお好きな方にはオススメのお店です!ぜひ今日はワインとお料理を楽しんでください。

小牧/店長:それでは最初のお料理です。自家製シャルキュトリーの前菜盛り合わせをご用意しました。パテ・ド・カンパーニュや生ハム、サラミなどを盛り合わせた当店の人気メニューです。

大西:おいしそうですね! ワインにもすばらしく合いそうです。

山田:早くワインと合わせてみたいですね! 最初のワインはどんなものでしょう。

小牧/店長:ドイツワインをご用意しました。リースリングという品種です。辛口も甘口もありますが、今回のワインは少し甘めです。味にふくらみがあり、お肉の柔らかさを包み込んでくれると思います。

山田:……うん、本当ですね! 確かに甘さもありますが、酸味もしっかりしていてバランスが良いですね。お肉を噛み締めたときの甘さにぴったりマッチします。

大西:たしかにこれは合いますね。お肉というと赤ワインのイメージでしたが、こういう感じで白ワインを合わせるのも良いですね。

“エンゲージメント”の定義とは?

山田:さて、ではワインとお料理を楽しんでいただきながらお話の方も聞かせてください。大西さんが取締役を務めていらっしゃる株式会社スタメンでは、エンゲージメント経営コンサルティングを事業として行っておられます。エンゲージメントという言葉はここ2、3年で人事の方がよく口にする言葉になりましたが、意外に定義が定まっていないと感じています。まずは御社が考えるエンゲージメントの定義から教えていただけないでしょうか?

大西:エンゲージメントは徐々に広がりつつありますが、まだ各社がそれぞれ違うことを言っていると感じています。私達はエンゲージメントという言葉を単体で使うこともありますが、エンゲージメント経営とか組織エンゲージメントとか、エンゲージメントという言葉に何かを付け足す形で、具体的な事象にフォーカスして捉えることが多いですね。

山田:世の中ではこれから定義が定まっていく状態ということですか?

大西:そうですね。ただ、私達としては、“会社と従業員の信頼関係が強固で、なおかつ従業員同士の信頼関係も強固な状態”を表していると考えています。

山田:会社と従業員、従業員と従業員の両方ですか。

大西:ええ。この2つが成り立っていて初めてエンゲージメントが高い状態だと考えています。たとえば実力主義の外資系企業の社員は、その会社で働くことにステータスを感じていたり、誇りを持っていたりします。しかし、個人主義で他の部署と足の引っ張り合いをしているのであれば、それは必ずしも組織としてエンゲージメントが高いとはいえません。

山田:会社と従業員の信頼関係はあっても、従業員同士の信頼関係がないパターンですね。

大西:一方、従業員同士は仲が良くて、信頼できる上司や同僚に囲まれていても、経営陣が信用できないと思っている場合も、先ほどと同じくエンゲージメントは高いとはいえません。

山田:先ほどの逆ですね。従業員同士の信頼関係はあるけれど、会社と従業員の信頼関係がない。

大西:エンゲージメントの把握については、こうして具体例を出すとわかりやすいと思います。

ロイヤリティとエンゲージメントはどう違うのか

小牧/店長:続いてのお料理をお持ちしました。新秋刀魚のコンフィです。低温の油でじっくり火を入れ、骨や内臓まで食べられる一皿です。付け合わせにはザワークラウトというキャベツの酢漬けとじゃがいもを添えてあります。じゃがいもにはお好みでマスタードをつけてお召し上がりください。

大西:肉に続いて魚ですか! これはワインも楽しみになりますね。

小牧/店長:ワインはオレゴンのピノ・ノワールをご用意しました。

山田:今度は赤なんですね。

大西:魚なのでてっきり白かと思いました!

小牧/店長:淡白な白身魚の場合は白ワインが合うのですが、肝まで食べられるコンフィとなると、実は赤ワインも相性が良いんですよ。特にオレゴンのピノ・ノワールは果実味が強く、酸もあるのでぴったりなんです。

大西:へえ~! そうだったんですね。……うん、たしかに合います!

山田:肉には赤、魚には白という思い込みをひっくり返される面白いペアリングですね。

大西:本当ですね。こういう提案をしていただけるのは楽しいですね。おいしいだけでなく驚きもあります。

山田:ワインと料理の世界は本当に奥深いですよね。さて、またエンゲージメントのお話に戻りますが、モチベーションやロイヤリティとは違うということでしょうか。

大西:モチベーションはもっと個人にフォーカスした概念になりますね。個人として仕事に熱中できているかを表すのがモチベーションなので、エンゲージメントとは直接関係ありません。ロイヤリティは比較的エンゲージメントに近い概念だと思いますが、先ほどの2つのうち会社と従業員の関係だけに限定した概念です。日本語でいうと“帰属意識”ですから。

山田:なるほど、ロイヤリティには従業員同士の関係は含まないわけですね。

大西:エンゲージメントはそういう意味では広義のワードですね。会社と従業員だけでなく、チームや部署をまたいだ関係性も考えないと組織としてのエンゲージメントは測れないのです。

山田:エンゲージメントが高まると組織はどうなっていくのでしょうか。

大西:業績の向上や社員の定着率が高まったり、教育コストが下がったりと、経営的なインパクトが出ることが証明されています。

山田:そうなると従業員満足度も上がりそうですね。

大西:そうですね。ただ、従業員満足度とエンゲージメントは明確に異なります。従業員満足度というのは、福利厚生や給与、仕事の内容など会社から与えられているものに対して満足している度合いなので、会社が赤字に転落するなどして待遇が悪くなると下がってしまいます。逆にいうと上げやすいということでもあります。

山田:待遇を改善すればいいわけですからね。

大西:一方でエンゲージメントは繰り返しになりますが、会社と従業員、従業員同士が信頼関係で結ばれている度合いですから、会社の業績が悪くなったときこそ力を発揮します。苦しい状況を皆で乗り越えようという空気が生まれるのは、エンゲージメントが高い組織ならではなのです。

山田:なるほど。そうなると短期的な視点よりも中長期的な視点で考えていくべきですね。

大西:もちろん企業には短期的な目標も必要です。でもそれだけでなく、中長期的にどうエンゲージメントを高めていくのかを考えることも大切ですね。

前編では“エンゲージメント”という言葉の定義と、モチベーションやロイヤリティといった概念との違いについて詳しくご説明いただきました。後編では大西さんが取締役を務めておられる株式会社スタメンについてさらに掘り下げて伺っていきます。

今回のお店

あじる亭

赤坂見附駅徒歩2分。各地で修業を積んだシェフ達の本格欧風料理とソムリエ厳選の世界各国のワインが楽しめるワイン居酒屋です。取り扱うワインは400種以上。赤坂でもトップクラスの品揃えを誇ります。