HRTech 2020年9月23日 従業員エンゲージメント向上に有効!? パルスサーベイのメリットと運用のコツ 近年、国内外の多くの調査において「企業の業績」と「従業員のエンゲージメント」との相関関係が実証されており、日本でも従業員満足度とあわせてエンゲージメントの向上に取り組む企業が増えています。従業員エンゲージメントを高めるためには、まず、現時点での従業員の満足度や仕事のやりがい、企業への信頼度などを把握した上で適切な施策を実施し検証・改善し続ける必要があります。そこで、従業員サーベイの手法として「パルスサーベイ」が注目されています。今回はパルスサーベイのメリットや運用時の注意点をご紹介します。 [目次] 高頻度で手軽に実施できる「パルスサーベイ」とは? パルスサーベイのメリット・活用効果 パルスサーベイ導入と運用における注意点 まとめ 高頻度で手軽に実施できる「パルスサーベイ」とは? パルスサーベイとは小規模かつ高頻度に実施されるサーベイのことです。「パルス(pulse)=脈拍」「サーベイ(survey)=調査」なので、脈のように短いスパンで繰り返し調査するという意味であり、日本では主に従業員満足度調査などに活用されています。 例えば、大規模な年1回実施するような従業員満足度調査は問題の原因究明、部署や年次ごとの比較を行いやすい長所はありますが、調査の案内や実施、結果の集約・分析にかなりの時間とコストが発生します。 急な職場環境や個人の変化を察知できず、対応が遅きに失する場合もあります。一方、実施する側にも受ける側にも負荷が少なく、組織内の課題や従業員の意識をリアルタイムに近い状態で把握できるのがパルスサーベイです。 パルスサーベイのメリット・活用効果 パルスサーベイのメリットを紹介します。 ・手軽かつリアルタイムな調査が可能 1回5~10分、質問項目3~7個程度の調査なので従業員の負荷が少なく、目的に応じ週次、月次に実施すると従業員の習慣になりやすいメリットがあります。「仕事に満足できていない」「周囲との連携がうまくいっていない」といった従業員の状態をリアルタイムに把握できます。 ・従業員満足度・エンゲージメントの向上 サーベイの結果をもとに、上司が従業員の「今の課題」をサポートしやすくなります。適切なフォローが可能になることで、従業員は「会社が自分のことを気にかけてくれる」という印象を持ち、エンゲージメントが向上しやすくなります。 ・新入社員のオンボーディング、簡易ストレスチェック 新入社員の中にはGW明けや試用期間中など早期に離職する人も少なくありません。例えば週次のパルスサーベイで兆候を把握し適切なフォローができれば、新人の思い込みや誤解による離職を防げる可能性があります。パルスサーベイで簡易的なストレスチェックを実施することで、メンタル不調の未然防止にもつながります。 パルスサーベイ導入と運用における注意点 導入時、運用時の注意点を解説します。 ・サーベイの実施頻度や内容を適切に決める 対象者、頻度、フィードバックのタイミング、質問数と内容を明確に決めることが重要です。頻度が高すぎると上司のフィードバックが追いつかず、サーベイ自体がマンネリ化してしまいます。質問数も多すぎると受ける側は負担です。 ・データを閲覧できる範囲を明言する 調査データの閲覧方法と範囲、回答内容によって不利益を被ることがないことを事前に説明することが重要です。回答内容によって人事評価に不利益が生じると危惧されてしまえば従業員は本音で回答せず、出てくる結果もそれに基づいてたてた施策も失敗に終わる可能性があります。 まとめ パルスサーベイは、手軽に高頻度で行えるため、従業員の状況をリアルタイムで把握できるメリットがあります。適切な質問数と頻度で実施し、調査結果をもとに従業員をフォローしたり、組織の問題点を改善したりし続けることで、従業員エンゲージメントが向上することが期待できます。 エンゲージメント ストレスチェック パルスサーベイ
HRTech 2020年9月16日 「ピープルアナリティクス」と「タレントマネジメント」との違いとは 近年は経営目標の達成に向けて、「人事を科学する」試みに取り組む企業が増えています。人事担当者の“経験”と“勘”に頼るのではなく、最新のテクノロジーを活用して人事データを分析することで、実際にどのような効果が期待できるのでしょうか? 今回は、人材データ活用における注目キーワード「ピープルアナリティクス」と「タレントマネジメント」について解説します。 [目次] 「ピープルアナリティクス」とは 「タレントマネジメント」とは まとめ 「ピープルアナリティクス」とは 「ピープルアナリティクス」とは、社内に存在する人材に関するデータを収集・分析し、統計的アプローチやエビデンスに基づいて、人材の採用・配置・評価ほか人事施策の意思決定を行っていく概念および取組みのことを指します。 ピープルアナリティクスという言葉を最初に使い始めたのはGoogleだと言われています。昨今、「心理的安全性」という言葉を耳にした方は多いと思います。これは、実はGoogleが「プロジェクト・アリストテレス」と名づけた社内調査において心理的安全性が生産性を左右する指標の5つのうちの1つであると解明したことがきっかけです。 社内の人事データを分析することで、今まで大きな成功要因と見なされていなかった新たな指標を導きだし、多くの経営者やマネージャー層に示唆を与えた事例です。Googleはピープルアナリティクスの定義を、「経営面で確率的な利点を得るために人材マネジメントに統計学と行動科学を体系的に応用すること」としています。 ピープルアナリティクスで扱う人材データは、性別や年齢という基本的な情報に留まりません。個々の従業員のスキル、行動、成果、キャリアプラン、従業員間の相互作用まで多岐に渡ります。 そのため、ピープルアナリクスは一般的な人事業務だけでなく、人材に関するさまざまな人事施策をデータによって客観的に捉えて判断し、その有効性を評価し、改善につなげることに役立ちます。 人事戦略上の難しい課題解決や大きな意思決定を迫られた際にも、豊富なデータを分析して得られたデータをもとに意見を出し合うことで、よりより解決策や判断基準を導き出せるようになります。 【活用領域例】 ●人材の採用、配置、育成 ●人事評価、人材の抜擢 ●離職理由の分析と改善 ●職場開発、組織改革 他 「タレントマネジメント」とは 一方、人事データを活用すると聞くと「タレントマネジメント」をイメージする方、実際に活用している方も多いと思います。 タレントマネジメントは、1990年代に欧米で生まれた概念です。日本では2010年代から注目を集めました。多くの企業が少子高齢化による労働力人口の減少や、働き方改革の推進による人的資源の活用に課題を抱え始めていたからです。 タレントマネジメントは、従業員の人材データを一元管理して可視化することで、人材開発や適材適所の人員配置・育成を行うことをさします。 一般に従業員のスキル、適性、ポテンシャルは入社何年かたつと変化しますが、その情報はブラックボックス化しがちです。仕事や上司との相性、本人の努力で大きく成長しているケースもあればその真逆のケースもあります。いずれにせよ、現場以外の人からは全体像が把握しづらい課題が出てきます。 タレントマネジメントシステムを活用して人材情報を一元管理し、リアルタイムに可視化することで、より戦略的な人材配置(リーダー候補の抜擢、適性を活かす人材配属)や、個々の従業員のスキル・潜在能力を伸ばすキャリア支援が可能になります。 まとめ 「ピープルアナリティクス」は、経営目標を達成するために人材データを収集し統計的アプローチに基づいて人と組織課題に向きあう概念です。人事を科学する「アプローチ手法」とも言えます。 「タレントマネジメント」は人材情報を一元管理・可視化することで、採用や配置、育成などの人事マネジメントを最適化する考え方です。タレントマネジメントシステムを活用する際も、ピープルアナリティクス的アプローチを取り入れることで、より有効な意思決定をすることができるでしょう タレントマネジメント ピープルアナリティクス
HRTech 2020年9月02日 タレントマネジメントシステム導入のメリットと注意点 タレントマネジメントシステムとは、社員のスキル・知識・経験値などの情報をデータで一元管理するツールです。欧米ではマネジメント手法のひとつとして「タレントマネジメント(talent management)」という概念は以前から普及していましたが、ここ数年、日本の企業でも人材活用の観点からタレントマネジメントシステムに注目が集まっています。今回は、タレントマネジメントシステムの目的や機能、導入のメリット、注意点を紹介します。 [目次] タレントマネジメントシステムとは タレントマネジメントシステム導入のメリット タレントマネジメントシステム導入の注意点 まとめ タレントマネジメントシステムとは タレント(talent)とは、「才能」「才能ある人」という意味です。タレントマネジメントシステムは、自社のタレントである社員の採用、育成・評価、配置を適正に行い人材のパフォーマンスを最大化することで、会社の業績向上を支援するシステムです。 ・目的 タレントマネジメントシステムは、社員の能力や強み、ポテンシャルをもっとも発揮できる人材配置や教育によって、社員のモチベーションと業績の両方を向上させることが目的です。 ・基本機能 (1)プロファイル管理 社員の基本情報・能力・配属・経歴・評価面談の記録などの管理機能です。社員を特定のスキル・プロフィールで絞り込み、データの比較・分析が可能です。 (2)パフォーマンス・目標管理 人事考課などで個人が立てた目標や実績を管理する機能です。個人だけでなく部門などグループ単位での目標管理も可能です。 (3)キャリア開発管理 社員研修などの教育施策の策定や進捗管理ができる機能です。プロジェクトの立ち上げの際などに、特定スキルを学んだ人材を絞り込むことも可能です。 (4)要員計画・採用管理 職種ごとの想定人件費と会社の収益をもとに人員計画を立案する機能です。人材獲得の費用対効果を分析することも可能です。 (5)報酬管理 人事考課データや昇進・昇格などに連動して給与や賞与の自動計算を行う機能です。 タレントマネジメントシステム導入のメリット 導入のメリットを4つ紹介します。 ・人材配置の適正化 社員の適性、目標、スキル、経歴がデータベース上で一元管理され、かつ社員の成長に伴いデータが更新されるため、精度の高い最適な人材配置が可能になります。 ・計画的な人材育成 社員のスキルを個別に詳細に把握することで、同期や同部門などグループ単位ではなく個人の能力や経験、ポテンシャルに応じた育成が可能になります。 ・公平な人事評価 社員のスキルや実績がデータ上で可視化されるため、バイアスによる恣意的な評価を防ぎ、客観的で公正な人事評価が実現できます。 ・社員のモチベーションUP 社員はスキルや適性にあった業務についたり効果的な教育プログラムを受ける機会が増えます。モチベーションがアップし離職防止につながることが期待できます。 タレントマネジメントシステム導入の注意点 導入する際の注意点を紹介します。 ・目的の明確化 まず、導入目的を明確にすることが必要です。製品によって機能に差があるため、目的があいまいなまま導入すると自社が希望するデータ活用ができない可能性もあります。 ・運用体制の確立 運用体制も重要です。誰がどのようにシステムのデータを活用するかを決める必要があります。また、明確な評価指標があればこそシステム導入も成果につながります。目的と活用方法、導入フローについて社内に周知しコンセンサスを得ることが大切です。 まとめ タレントマネジメントシステムの特徴は、社員一人ひとりのプロフィールやスキル・経験などがデータとして一元管理でき、戦略的な人材マネジメントに生かせることです。システム導入にあたっては人事戦略を明確にすることが求められます。目的にあったシステムを見極め、人事管理の最適化を目指しましょう。 エンゲージメント タレントマネジメント タレントマネジメントシステム 人事評価 人材開発 適材適所
HRTech 2020年8月19日 DXの実現に必要な人材とは(後編) DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現にはIoTやAIなど最先端のデジタル技術を活用し、市場の変化にあわせてビジネスモデルを変革したり、新たな価値を創出できる人材を確保することが急務です。 今回は、DX人材を採用する際のポイントとDX人材の育成方法について解説します。 [目次] DX人材の採用手法と採用時の注意点 DX人材育成のキーワード「Reスキル」と「リカレント教育」 まとめ DX人材の採用手法と採用時の注意点 独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は、2019年、IoTやAIを活用したITサービス市場に従事する先端IT人材の転職方法についてアンケート調査を実施しています。 調査結果では、最先端の技術を持つIT人材の転職方法は「友人・知人等の紹介」や「人材サービス企業からの紹介」がいずれも3割を超え、次いで「ヘッドハンティング」が3割弱です。現在のDX人材の採用は、リファラルなどのダイレクトリクルーティングも主流になりつつあると言えるようです。 転職を決意した理由として最も多かった回答が、「自分のやりたい仕事ができなかったから(34.8%)」であることから、DX人材を採用する際は相手の持つスキルや経験とのマッチングだけでなく、相手が希望する仕事と自社が期待するDX人材としての役割のマッチングがポイントであることがうかがえます。 とはいえ、国内外においてDXの実現に必要な先端ITスキルを持つ人材がそもそも希少なことも事実です。多くの企業は、高額なオファーで厳しい人材獲得競争に勝ち優秀な人材を確保すること自体、困難でしょう。 そこで注目を集めている人材確保の取り組みが、自社内でのDX人材の育成です。 DX人材育成のキーワード「Reスキル」と「リカレント教育」 DX人材の育成には、従来型IT人材から先端IT人材へと転換するための「Reスキル推進」が重要と言われています。 従来型IT人材とは、既存システムの受託開発、保守・運用サービス市場に従事する人材のことです。つまり従来型IT人材を既存システムの維持保守業務から解放しDX分野にシフトさせ、先端IT人材として育成するということです。 事業部門人材のIT教育や適材適所の配置など、IT部門外人材の流動化を促進して先端IT人材を確保するといったアプローチも重要です。この場合、ITスキルの習得からDX人材の育成施策を検討する必要がありますので、いわば企業による「リカレント教育」の推進だと言えるでしょう。 IPAの資料によると、DXの取り組みで成果を出している企業は、一過性でなく継続的かつ全社的に勉強会や啓発のための研修などを行っています。 【例】 •経営層を含む定期勉強会 •CDO 自ら全社員向けにデジタル研修実施 •全社員向けの啓発研修 •海外のスタートアップの情報を現地で収集 •DXメンバー の自発的な最新技術把握・実践 •コンテスト、資格取得奨励、他 また、教育の取り組みが多岐に渡っているほか、組織文化において「リスクを取り、チャレンジ」、「多様な価値観受容」、「仕事を楽しむ」、「意思決定のスピード」という傾向があるという結果も出ています。経営層が中長期的な視点のもと、全社的にデジタル社会に対応できるような教育を実施していることがうかがえます。 しかし、DX人材の育成には時間がかかることや、先端IT人材が従来型IT人材よりも「自分のやりたい仕事」、「クリエイティブな仕事」、「先端的な仕事」を求めて転職する傾向が高いことを踏まえ、外部から人材を獲得する努力を継続することも重要です。もし、マッチングが上手くいき優秀なDX人材を採用できれば、社内の人材にポジティブな影響を与え、人材育成上も大きなプラスとなるでしょう。 まとめ DX人材の育成・採用については、DXの実現が企業の経営戦略上不可欠であることを、まず経営層が強く認識する必要があります。「人材流動化」や「Reスキル支援」は全社的な取り組みがあってはじめて成果を出せるからです。 企業には、個々の社員のキャリアビジョンとITリテラシーを考慮しながら、既存の社員に学び直しの機会を積極的に提供する努力が求められます。採用市場にスキル・経験を保有するIT人材が希少なことを踏まえて、社内リカレント教育を推進するための「Reスキル支援の仕組み・環境づくり」をしていきましょう。 digital transformation DX Reスキル デジタル・トランスフォーメーション リカレント教育
HRTech 2020年8月12日 DXの実現に必要な人材とは(前編) IoT、AI、ビッグデータなどのテクノロジーの指数関数的な発展に伴って、世界規模でビジネスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が進んでいます。多くの企業がこの変化を前にビジネスの転換期を迎えています。今回はDX推進に不可欠な「DX人材」について解説します。 [目次] DX人材とは、新たな価値を生み出せる存在 必要になるDX人材 なぜ今、DX人材が必要なのか まとめ DX人材とは、新たな価値を生み出せる存在 DX人材の理解にあたって、まずは「DX」について確認してみましょう。DXは「デジタル・トランスフォーメーション」の略称です。 経済産業省は「デジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」において、DXを以下の通り定義しています。 『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』 DXの成功例には、Amazon、Facebook、Appleなどがよく知られています。いずれも既存業界を変革するだけでなく、人々のライフスタイルにも大きな影響を与えました。 また、日本の基幹産業である自動車業界も自動運転技術の登場により100年に1度と言われる大変革期を迎え、DX化を加速しています。あらゆるモノがインターネットに接続し、AIでデータを分析できる時代には、車の運転も周囲の状況をセンサーでキャッチした安全走行が可能になります。 今や自動車=「乗るもの」「所有するもの」という概念が変わりつつあり、安全で快適な空間の在り方、新しい都市の在り方が構想されていることを、ニュース等で目にした方も多いのではないでしょうか? DXとは単なるデジタル化、技術革新ではなく、人々の暮らしや社会の在り方にまで変容をもたらすことを意味します。DX時代においては、単にデジタル技術に優れているだけではなく、技術を活用して顧客に新たな価値を提供できるDX人材が必要になります。 必要になるDX人材 独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は、2019年にDXの取り組み実態の把握やDX推進の組織や人材のモデル化を目的とした調査の結果を公開しています。調査対象は、東証一部上場企業です。 その中で、DX人材の一例として以下の職種を定義しています。 ・プロデューサー DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材 ・ビジネスデザイナー DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材 ・アーキテクト DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材 ・データサイエンティスト/AIエンジニア DXに関するデジタル技術(AI、IoT)やデータ解析に精通した人材 ・UXデザイナー DXやデジタルビジネスのユーザー向けデザインを担当する人材 ・エンジニア/プログラマ 上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材 なぜ今、DX人材が必要なのか 同調査では、8割を超える企業がプロデューサー、ビジネスデザイナー、アーキテクト、データサイエンティスト/AIエンジニアの人材が不足している、と答えています。 約6割の企業が「自社の優位性や競争力の低下」を懸念し「ビジネス変革の必要性を非常に強く感じている」と回答しているものの、取り組みは「業務の効率化による生産性向上」に留まり、「新規製品・サービスの創出」は半数に満たないという実態も明らかになっています。 その理由として、現在の「既存システム」がDX実現の障壁となっていることに加え、DXに向けてビジネスモデルやシステムを見直したくても、必要な人材が社内にいないことが挙げられています。DXの推進に向けてまず取り組むべきは、人事面の課題だと言えるでしょう。 まとめ DXとは、データやデジタル技術を活用して市場に変革をもたらし、顧客に新しい価値を提供していくことであり、企業のDX推進にあたっては多様なDX人材が必要になります。DX化は企業が優位性や競争力を維持するための必須課題ですが、多くの企業でDXを推進する人材が不足しているのが現状です。企業には、まずDX人材を確保するための採用・育成という人事戦略が求められています。後編では、DX人材の育成方法について解説します。 digital transformation DX DX人材 デジタル・トランスフォーメーション
HRTech 2020年7月15日 テレワーク(リモートワーク)でのコミュニケーションの注意点、対策のポイント 2020年に発生した新型コロナウイルスの影響により、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)の導入が急速に進んでいます。一方で、様々な課題も浮き彫りになりつつあります。今回はテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)でのコミュニケーション上の課題、注意点、対応策を紹介します。 [目次] 急ごしらえなテレワークで浮き彫りになる課題 リモート環境下でのコミュニケーションの注意点 リモート業務でのコミュニケーションのポイント まとめ 急ごしらえなテレワークで浮き彫りになる課題 新型コロナウイルスの感染拡大以前の2019年に総務省が行った調査によると、テレワークは順調に普及していると言い難い状況でした。導入率は従業員100人以上299人以下の企業で14.5%、2000人以上の企業で46.6%であり、チャットやWeb会議システム導入企業は2割未満でした。 ところが、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年4月、パーソル総合研究所が行った調査では正社員のテレワーク実施率は全国平均で27.9%、東京都の調査では都内企業のテレワーク導入率が62.7%に跳ね上がります。 多くの企業が迅速に対応したことがうかがえますが、一方で検討する時間があまりないまま導入したテレワーク環境下で様々な課題が表面化しました。特に懸念されているのがコミュニケーションエラーです。 リモート環境下でのコミュニケーションの注意点 民間企業が実施した複数の調査において、テレワークの課題のNo.1に「コミュニケーションの難しさ」が挙げられています。 ・コミュニケーションの量の低下 テレワークでは自席での上司や同僚との会話、休憩室や廊下などでの他部署の社員とのやりとりなどがなくなります。オフィスにいるだけで受動的に入ってきた情報が減少するため、意識的にコミュニケーションを図らないとコミュニケーションの量が低下します。 ・コミュニケーションの質の低下 リモート業務では文章でのやりとりが中心になります。これまでのように笑顔、目線、仕草で補完できていた情報がなくなるため、言葉が冷たく受け止められたり、曖昧な表現が誤解を生んだりなどコミュニケーションエラーが起きがちです。 リモート業務でのコミュニケーションのポイント リモート業務でのコミュニケーションを円滑にするポイントを紹介します。 ・ちょっとした会話をチャットで行う 対面で何気なくできていた気軽な質問、ちょっとした細かいやりとりをチャット上で行うことができます。チャットに「雑談ルーム」を設ける企業も増えています。ふと思いついたアイデア、素朴な疑問を共有することで業務が進み生産性が向上するのはリアルもリモートも同じです。 ・丁寧な表現をする メールやチャットでは曖昧な表現をできるだけ控えることが基本です。主語を明確にし、「あれ、これ」ではなくできるだけ固有名詞を使います。文章はひらがなを多めにして2~3行で改行するなど丁寧で読みやすい表現を意識しましょう。 「ありがとう!」「お疲れ様!」「了解しました!」といった一文や絵文字などで速やかにレスポンスすることも大切です。リモートワークではレスポンスがないと発信者が不安になったり無視された感覚になったりしやすいため注意しましょう。 ・Web会議では画面越しの印象に気を配る Web会議のときに相手の顔を見て話すと画面越しでは下を向いているように映ります。発言は伝えたい相手の名前を挙げながら、カメラ目線で行うことがポイントです。声の高さもワントーン上げて、できるだけ表情を豊かにするように心がけると印象がよくなります。 まとめ テレワークでのコミュニケーションは細やかな気配りが必要です。オンライン朝礼、チャットでの雑談、就業時の「蛍の光」などいろいろな手法が試みられていますが、各社まだ経験値が浅い状況です。社内カルチャーやITリテラシー水準も踏まえて、自社でルールやマナーを決めていきましょう。 コミュニケーション テレワーク リモートワーク 新型コロナウイルス
HRTech 2020年6月24日 ウェビナーを成功に導く! そのポイントと注意点とは? 新型コロナウィルス感染症防止のため、企業や学校、官公庁等でセミナーや展示会の場をオンラインで開催できる「ウェビナー」に切り替える動きが広がっています。 本記事ではウェビナーとは何か? ウェビナー開催には何が必要なのか?ウェビナーを成功に導くうえでのポイントや注意点を解説していきます。 [目次] そもそもウェビナーとは? ウェビナー開催前に知っておきたい注意点 ウェビナーツールを有効活用するポイント まとめ そもそもウェビナーとは? ウェビナーとはWeb上で行われるセミナーのことです。「オンラインセミナー」や「Webセミナー」とも呼ばれます。近年は展示会、採用説明会、社員研修等、幅広い目的で開催されています。 様々なウェビナーツールが多くのベンダーから提供されており、少人数向け無料プラン、最大10,000台のデバイスに配信できる有料プラン、動画撮影~配信までを請け負うプランなどがあります。 ウェビナーは準備にかかる手間やコストの軽減メリットが非常に大きく、リアルなセミナーと比べて日程調整や会場手配も容易です。運営者、参加者とも会場までの移動コストもかかりません。 国内・海外問わず配信できることもウェビナーの魅力であり、地方企業であっても都心や海外の新たな取引先や優秀な人材を獲得できる可能性があります。 ウェビナー開催前に知っておきたい注意点 ウェビナーはリアルなセミナーとは違いパソコンやスマートフォンで視聴するため、配信方法や配信環境に留意する必要があります。 ・配信方法 ウェビナーの映像配信方法には撮影・編集した映像を使用する「オンデマンド配信」と、リアルタイムの映像を流す「ライブ配信」があります。 ・オンデマンド配信 参加者が自分の予定に合わせて視聴できるメリットがあります。運営者にとっては事前に入念な編集作業ができ、録画映像を何回も活用できるところがメリットです。 ・ライブ配信 主催者と参加者がリアルタイムにコミュニケーションできるため、イベントが盛りあがりやすいメリットがあります。録画機能を活用し、後日オンデマンド配信することも可能です。 ・配信環境 ウェビナーでは映像や音声の乱れがあると、主催者のイメージ悪化につながります。 自社でネットワーク環境を整えたり、魅力ある動画を作成することが難しい場合は、配信環境の整ったスタジオや動画制作会社に委託するなど、高品質な映像を配信できるように留意しましょう。 ・リアルなセミナーとの違い ウェビナー参加者の多くは自宅などリラックスできる環境で視聴しています。リアルなセミナーより集客しやすい反面、離脱しやすい環境でもあるため、時間配分をコンパクトにするなど最後まで視聴してもらう工夫が必要です。 ウェビナーツールを有効活用するポイント ウェビナーツールは参加者が気軽にアクセスでき、発信しやすいツールにすることがポイントです。 ・スマートフォンやタブレットでも利用できる 参加者がモバイル端末でどこからでも簡単に参加できると、場所や時間を選ばないウェビナー開催が可能になり、集客力アップの一助となります。 ・双方向のコミュニケーションに対応している チャット機能があれば、参加者は質問や意見をタイムリーに発信できます。対面ではない気軽さから参加者が発言しやすいところもウェビナーの魅力です。その場で質問に答えてもらえるため参加者の満足度は高まります。 まとめ ウェビナーは2020年になり一挙に検討する企業が増えたため「ウェビナー開催ノウハウ」をテーマにした無料ウェビナーもよく開催されています。 こうしたウェビナーに参加すると「参加者の目線」と「主催者のノウハウ」を同時に知ることができ、自社ウェビナーのイメージがつかみやすくなるでしょう。 Webinar Webセミナー ウェビナー オンラインセミナー テレワーク 新型コロナウイルス
HRTech 2020年6月17日 いま求められているオンライン採用導入のポイントとは? 新型コロナウイルスの影響が多方面に広がるなか、厚生労働省は関係団体に対して「雇用維持等に配慮する」よう要請文を出しています。その中には「多様な通信手段を活用した説明会や面接・試験等による一層の募集機会の提供」といった内容も含まれており、オンライン上の採用活動が奨励されています。 本記事では、採用市場の最新動向、オンライン採用のメリットや注意点、導入時のポイントを解説します。 [目次] 採用市場の最新動向 オンライン採用のメリットと注意点 オンライン採用導入時のポイント まとめ 採用市場の最新動向 毎年春に行われる新卒学生向けの「合同説明会」や「ガイダンス」の多くが、2020年は新型コロナウイルス感染予防のために中止となりました。一方で、株式会社リクルートキャリアの「2020年4月1日時点内定状況」によると、就職内定率は31.3%と過去最高値です。 エン・ジャパン株式会社が3月に実施した「感染症拡大による中途採用への影響」においては、85%の転職コンサルタントが「半数以上の企業が採用を継続している」と回答。ベンチャー企業、外資系企業などが人材獲得に積極的であることを指摘しています。 緊急事態宣言が発令され、多くの業界の需要が激減しているなか、デジタルトランスフォーメーションを推進するIT業界、製薬業界、食品業界などが伸びていることを考えると、今後の採用市場は新卒・中途市場とも二極化していくことが予測できます。 オンライン採用のメリットと注意点 株式会社ビズリーチが2020年4月に同社の採用クラウド「HRMOS」導入企業に行った調査によると、採用活動のオンライン化に対応している企業は過半数を超え、その6割以上が「メリットが大きい」と回答しています。企業が感じるおもなメリットは以下の点です。 ・遠方の求職者との接点が増えた オンライン採用では求職者側に交通費や宿泊費がかかりません。企業も地方に赴く必要がありません。その結果、企業と遠方(地方・海外)の求職者との接点が増え母集団が形成しやすくなります。 ・求職者と気軽に接点が持てる オンライン採用なら求職者の都合に合わせていつでも、どこからでも接点を持つことができます。採用担当者が在宅勤務でも選考を進められることもメリットです。 一方で、オンライン採用の課題も浮き彫りになっています。 ・職場の雰囲気を伝えることが難しい オンライン採用では職場の雰囲気を伝えることが難しくなります。新卒採用では「人」が就職先選びの重要な決め手となることが多いため、入社後にギャップが出てくる可能性があります。 ・求職者の印象を正確に把握しづらい リアルな面接のように入退室の立ち振る舞い、面談中の姿勢などを確認できないため、求職者の印象を正確に判断しづらい課題があります。 オンライン採用導入時のポイント オンライン採用ツールを選ぶポイントを紹介します。 ・複数同時接続が可能 1対1の面接、グループ面接のいずれにも対応できるように複数名同時接続が可能なツールを選ぶ必要があります。 ・情報を共有しやすい オンライン上で伝えたい情報をアピールするためには、資料を共有できる「画面共有機能」があり、かつ伝えたい箇所を強調できることが望ましいと言えます。 ・スマートフォンやタブレットも利用できる モバイル対応型ツールだと求職者とのスケジュール調整がしやすく、選考をスピーディに進めることができます。 ・気軽に参加できる 昨今は求職者とURLを共有するだけでオンライン採用ができるツールもあります。大変手軽なため、オンライン説明会への参加者増加が期待できます。 まとめ コロナウイルス感染症の影響によりオンライン採用が急速に普及し、リアルな面接をすることが企業イメージ悪化につながりかねない状況になっています。ビジネス環境の変化に適応し、安全で効率的な採用活動に切り換えていきましょう。 DX オンライン採用 デジタルトランスフォーメーション テレワーク 採用 新型コロナウイルス
HRTech 2020年5月28日 SaaSの基礎知識と導入のメリット、PaaSやlaaSとの違いを解説します 世界中で利用され、いまや業務効率化に欠かせないツールとなったクラウドサービス。IT業界のみならず、あらゆる産業界からさらなる普及と発展が期待されています。 そして昨今、さまざまなメディアで見聞きする「SaaS(サース/サーズ)」という言葉。これは「Software as a Service」(サービスとしてのソフトウェア)の略称で、低コストで気軽に導入できることから近年最も利用されているクラウドサービスです。 今回は、世界が注目するSaaSの特徴や導入のメリット、混同されやすいPaaSやlaaSとの違いについて解説します。 [目次] 「クラウドコンピューティング」と「SaaS」 代表的なSaaS SaaS、PaaS、laaS の違い まとめ 「クラウドコンピューティング」と「SaaS」 クラウドコンピューティング、いわゆる「クラウド」は2000年代から一般的に普及し始めました。クラウドはサーバー上に存在するデータやソフトウェアをインターネット経由で利用するため、私たちはコンピュータ資源を持つ必要はありません。 2020年代の現在、クラウドサービスは個人・法人を問わず誰もが必要なときに必要な分だけ利用できるサービスとなり、とりわけSaaSは私たちの生活に根ざした存在となっています。 ■SaaSの種類 SaaSには主に以下の2つの種類があります。 ・Horizotal SaaS(ホリゾンタルサース) 業界・業種を問わず、特定の職種に特化した機能を持つSaaSです。人事システムや営業支援システムという形で提供されています。 ・Vartical SaaS(バーティカルサース) 業界・業種ごとに特化した機能を持つSaaSです。小売業や飲食業といった各業界で利用されています。 代表的なSaaS 代表的なSaaSには、以下のようなものがあります。 ・Dropbox クラウドサーバー上にファイルを保存できるサービスで、サーバー上で他者とファイルを共有し、共同編集や同時作業が行えます。また、ネット環境さえあればいつでもどこでもファイルを操作できます。 ・G Suite(旧名称:Google Apps) クラウド上で利用するアプリケーションパッケージで、コミュニケーションやスケジュール管理、オフィスワークといった用途で利用されています。例えば、Gmail、Googleカレンダー、GoogleドキュメントなどがG Suitesに含まれています。 ・Salesforce 企業の顧客情報を一元的に共有できるCRMプラットフォームで、営業支援からカスタマーサービス、マーケティングなど、顧客管理に必要な幅広いサービスを提供しています。 SaaS、PaaS、laaS の違い SaaSと類似した言葉に「PaaS(パース)」「IaaS(イァース/アイアース)」があります。これらは提供されるサービス内容によって、クラウドコンピューティングを3つに分類したものです。 ・SaaS(Software as a Service) クラウド上でソフトウェアを利用するためのアプリケーション、ミドルウェア、OS、サーバー、ネットワークまで完全に網羅しています。必要コストが低く早期にサービスを開始できる一方、パッケージ化されているゆえにカスタマイズの自由度は低めです。 ・PaaS(Platform as a Service) クラウド上でソフトウェアを利用するためのミドルウェア、OS、サーバー、ネットワークがサービス内容に含まれます。システム開発のみに注力できる一方で、サービスベンダーが提供する言語やデータベースを使用しなければならないデメリットも。 ・laaS(Infrastructure as a Service) クラウド上でソフトウェアを利用するためのOS、サーバー、ネットワークがサービス内容に含まれます。インフラ部分のコストは低いものの、設計や管理、運用といった専門知識を持つ人材が不可欠です。 まとめ SaaSのメリットは、インフラ整備やソフトウェア導入、サービス利用に関するコストの低さです。さらに導入までの期間が短いため、早期に課題を解決したい企業にとっては魅力的でしょう。また、サービスの導入にあたっては、PaaSやIaaSとの違いを理解しておくことも大切です。社会の多様なニーズに応えられるよう、今後も私たちの生活にあり続けるSaaSの知識を深めていきましょう。 SaaS クラウド 業務効率化
HRTech 2020年5月12日 テレワーク制度導入で働き方改革を成功させる! 導入時に気を付けるべき4つのポイントとは? 働き方改革を推進するため、政府が積極的に導入を呼びかけている「テレワーク」。近年のIT技術と通信機器の目覚ましい発展は、在宅でのより高度な業務遂行を可能にしました。 そして、新型コロナウイルスの影響を受けて、その導入には更なる期待が寄せられています。企業は、テレワークを導入する環境の整備を強く求められています。今回はテレワークの導入にあたって、企業が気をつけなければいけない4つのポイントを解説します。 [目次] テレワークが可能にする「従業員の働き方」 テレワーク採用による「経営課題の解決」 テレワーク導入で気をつけなければならない4つのポイント 「テレワーク導入」というCSR テレワークが可能にする「従業員の働き方」 企業はテレワークの導入によって、時間や場所にとらわれない働き方を従業員に提供できます。その「働き方」とは、次の3つです。 ●外勤型テレワーカー 勤務先以外での仕事が中心で、ノートパソコンやスマートフォンを駆使して社外で書類作成やメール対応などを行います。セールスパーソンをはじめとした外勤型の従業員が該当します。 ●内勤型テレワーカー あらかじめ決められた就業場所だけでなく、適切な場所と時間を選んで業務を行えます。企画、人事、総務といった内勤型の従業員に適しています。 ●通勤困難型テレワーカー 何らかの事情によって通勤が困難であるため、在宅勤務を中心として仕事を進めます。育児や介護などを必要としている従業員に適しています。 テレワークによってこうした働き方を実現することで、企業は次のような経営課題の解決も見込めます。 テレワーク採用による「経営課題の解決」 テレワークの採用によって以下の経営課題の解決が期待されます。 ●生産性の向上 時間と場所にとらわれないテレワークは社員の生産性を向上させます。テレワークであれば勤務可能な遠隔地の優秀な人材の確保や、社員に合わせた働き方が可能となることで、離職防止にもつながります。 近年日本を襲った地震や台風などの自然災害や、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックなど、予期せぬ出来事が発生した時にも、企業が事業継続性の確保(BCP)をするためにもテレワークの採用は有効な解決策になります。 さらに、企業利益を左右するコスト削減として、ペーパーレスや、社員の移動にともなう交通費削減の効果も期待できます。 ●ワークライフバランスの実現 政府が推進する働き方改革の中でも、社員の働き方に対するニーズに応える対応策として、テレワークの導入が奨励されているように、テレワークは、仕事と育児・介護・病気の治療など、ライフイベントの中で発生するさまざまな出来事に対応した、多様で柔軟な働き方ができるライフワークバランスがとれた職場環境を実現します。 ●生産年齢人口の減少による人手不足の解消 日本企業を取り巻く社会環境の変化の中で、大きな課題となっているのが、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による人手不足です。テレワーク導入によって、多様な人材を確保できるようになり、人手不足の解消につながります。 テレワーク導入で気をつけなければならない4つのポイント テレワークを導入する際には次の4つのポイントに気をつけなければなりません。 (1)導入プロセスを把握し、理解する テレワークの導入プロセスは、次の8つのプロセスで進めていきます。各プロセスをしっかりと把握して進めていきましょう。 ・導入目的の明確化 ・対象範囲の決定 ・現状把握 ・導入計画の策定 ・実施環境の整備 ・研修等説明会の開催 ・テレワークの試行・実施の開始 ・テレワーク推進のための評価と改善 (2)導入に向けた推進体制を整える テレワークの導入にあたっては、推進に必要な体制を整えなければなりません。推進のリーダーシップは、企業経営者がとり、明確な意思表示を発信することが重要です。さらに、実務運営に必要な、経営企画、人事、総務、システム部門、テレワーク導入予定部門などの担当者を決め、プロジェクトチームを組成し推進していく必要があります。 (3)セキュリティ対策を施す テレワークの導入にあたっては、人為的な面と、技術的な面で、情報セキュリティ対策をたてなければなりません。総務省が策定し公開している「テレワークセキュリティーガイドライン」を参考にするとよいでしょう。 (4)ICT環境を整備する テレワーク導入にあたっては、テレワーク用のICT環境を構築する必要になりますので、現状のシステム確認やテレワーク導入に向けてのICT環境整備が必要です。 「テレワーク導入」というCSR テレワークの導入は、多くの人にとって「働き方改革の一環」と認識されていました。それは、「労働力の確保」「生産性の向上」「ワークライフバランスの実現」などの経営課題の解決を目的としていたからです。ですが新型コロナウイルスの出現は、予期せぬ事態への対応策として、テレワークの新たな必要性を浮き彫りにしました。更なる移動の制限とその継続を求められる可能性が高まるなか、企業は「経済活動を継続させる」という社会的責任を果たすべく、テレワークを導入しなければなりません。 テレワーク 働き方改革 成長する組織